2022年01月01日 21:05
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スレを立てるまでに至らない愚痴・悩み・相談part143
- 563 :名無しさん@おーぷん : 21/12/28(火)11:16:27 ID:xl.he.L1
- うちの父は自宅の一室を事務所として使っていて、社員は父親一人。
電話で注文を受けて、同じように注文を出すという只の取次業務を延々とやるだけ。
自分が小さい頃は別に不思議には思わなかったけど、
高校生くらいのときは「何か非合法なものを取り扱っているんじゃないの?」
と不審に思ったりしたこともあった。
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- 自分は父の跡を継ぐつもりは全くなかったし、父の側にも継がせる気は無かった(多分)。
しかし残念なことに氷河期真っ只中で大学を卒業した自分は全く就職先が決まらず、
実家に戻り父の仕事を手伝うことになった。
そしてそこで漸く父の仕事の全容が判明した。
自分の地元は魚の養殖(タイとかハマチとか最近ではマグロとかいろいろ)が盛んで、
父は養殖業者向けに養殖用のエサの卸売をしていたのだった。
養殖業者からエサの注文を受けると、その注文分を父がエサを製造しているメーカーへ発注する。
請求書は父の会社宛てに届くがエサの在庫は養殖業者に直接届けられるので倉庫も必要ない。
電話さえあればやっていける商売だったのだ。
なぜ養殖業者とエサメーカーが直取引をしないのかというと、
養殖業者は何年かおきに赤潮の被害が発生することがあり、酷いときには倒産に追い込まれる。
そういった被害を最小限に食い止めるため、
メーカー側は必ず間に卸売を挟んで取引するのが業界の慣習とのことだった。 - 564 :名無しさん@おーぷん : 21/12/28(火)11:17:02 ID:xl.he.L1
- 「でもそれで赤潮になったらうちが直撃弾食らって潰れるんじゃないの?」
と父に聞いたことがあった。
父は父なりに各養殖業者の体力を見極めていて、体力があまり無いと判断した先には
反対勘定(売掛金に対する買掛金)を立てるようにしていた。
養殖業者にエサを1000万円販売するとして、月末締め翌月末払いだとすると
最大で2ヶ月間の売掛期間が発生する。
この間に赤潮が発生して養殖業者が倒産してしまうと1000万円とりっぱぐれてしまう。
そこで父はエサを1000万円分販売するときに、養殖業者から養殖魚を500万円分購入して、
養殖業者に対する買掛金500万円を発生させていた。
こうしておけば、万が一養殖業者が倒産しても売掛金1000万円と買掛金500万円を相殺して
被害額を半分に抑えることが出来る。
買った魚は仲買人へ頼んで売りさばいてもらうので費用を差し引くと少し損をするのだが、
「保険と考えれば安いものだ」と父は言っていた。
その後父の手伝いを10年ほど続け、自分が会社を継ぐこととなった。
父からは「この業界は自然に左右されるので良い時と悪い時の波が激しい。
欲を出して規模を拡大するな。一社との取引を増やしすぎるな」とアドバイスを貰った。
ただ当時の自分にはこのアドバイスが理解出来ていなかった。
「リターンのためにはリスクをとることは必要だろ」と考え、新たな取引先を開拓したりもした。
そして知り合いからの紹介で魚の養殖やしらす、ちりめんなどの水産物加工を
手掛ける大手水産会社と取引をはじめることが出来た。
そこも自分と同じように社長が代替わりしており、
二代目社長は新たな設備投資を行って業容を拡大しつつあった。
「事業規模も大きいし、大手企業との取引もある。こんな先なら売上を伸ばしても問題ないだろう」
と考え、自分はどんどんその会社との取引を拡大した。 - 565 :名無しさん@おーぷん : 21/12/28(火)11:17:52 ID:xl.he.L1
- 終わりの時は突然やってきた。
取引先から「民事再生法を申請するのであとはよろしく」的な文面が配達証明郵便で送られてきた。
以後の連絡は管財人である弁護士を通してやってくれと書いてあった。
無視して取引先の社長の携帯に連絡するが当然のことながら繋がらない。
パニックになった自分は書面を持って車を運転し、
地元の地方裁判所近くにある法テラスへ行き弁護士と面談した。
当番の弁護士さんは丁寧に対応してくれたが、
「民事再生を申請しているので現時点で出来ることは何もない。
債権届に漏れがないように債権を記載して届出すること。
案件内容にもよるが民事再生の場合の配当率は平均15%程度。
その配当もすぐに受け取れるのではなく、再生計画に基づいて定期的に支払われる」
との回答を頂き、その時点でもう完全に詰んでしまっていることが分かった。
父のアドバイスを無視し、一社との取引を拡大させ、
しかも売掛金回収リスクを抑える工夫など何もしていなかった。
数千万円単位で積みあがった売掛金のうち、回収出来るのはせいぜい1~2割程度。
しかも何年かかけて支払われることになるという。
一方でエサメーカーへの支払はしなければならない。
破産して会社を潰す以外の手はもうなかった。 - 566 :名無しさん@おーぷん : 21/12/28(火)11:19:15 ID:xl.he.L1
- 取引先がなぜ急にこんなことになったのかは、その後のニュースで明らかになった。
取引先は大手水産商社(一部上場の自動車メーカーの100%子会社)と取引しており、
その取引の中で「循環取引」を行っていたのだった。
「1000万円のしらすの在庫を買い取ってもらい、3ヶ月後に1050万円で買い戻す」
という取引を何度も繰り返すことで、両社とも売上高・利益を伸ばすことが出来る。
しかしながら、それを繰り返すことで在庫の時価と取引額は乖離していくわけで、
最終的には「時価1000万円のしらす在庫を1億円で買い取ってもらい、1億50万円で買い戻す」
なんてことになってしまう。
最後は大手水産商社の社内監査で全てが発覚。商社も被害を被ったが、
循環取引に参加していた各社は時価の何倍、何十倍の価格となった在庫を
強制的に引き取らされ、破綻した会社も何社か出たらしい。
法律相談を終えたあとは、何もする気が起きず街中をぶらぶらと歩いていた。
結局会社はどうしようも無く、妻と離婚して慰謝料を払うなどしたら
多少の借金以外は本当に何も残らなかった。
父の助言を無視した結果がこのザマなので、毎年父の墓参りには行っているものの、
今でも父に合わせる顔が無い。
先日父の命日だったので思い出し吐き出し。 - 567 :名無しさん@おーぷん : 21/12/28(火)11:59:48 ID:jB.85.L1
- 文章の雰囲気で若い女性の書き込みだと思ってたから最後でびっくりした
- 568 :名無しさん@おーぷん : 21/12/28(火)12:40:30 ID:Dy.ky.L1
- 性別書かれてないけど普通に男性と思ってた
なんなんだろなこの違い - 569 :名無しさん@おーぷん : 21/12/28(火)13:10:31 ID:jB.85.L1
- >>568
たぶん冒頭の「うちの父」とか「自分が小さい頃」とかの可愛らしい言葉の選び方から
若い女性と勘違いしてしまったんだと思う
深い意味はないです
コメント
結構面白かった
こんな仕事あるんだな
なんかバブル期に調子乗って融資しまくって、バブル崩壊で融資が焦げ付いて倒産した銀行みたいな話だ
可哀想でお金恵んであげたくなる
正月早々こういうのは悲しいなぁ・・・
思った以上にすごい話だった…
商売って、売掛って、そして信用って難しいよね。
私は底辺なもんで夜の世界にいたんだけど、ホストやホステスさんでも売掛を飛ばれて大変な事になった人をたくさん見てきたけど、企業間の売掛となると桁が違うよなぁ…何千万だもんなぁ…。
結局この人は会社を潰して民事再生とか自己破産はしたのかな?それとも多少の借金のみで綺麗に会社を畳めたのだろうか。
お父様はその時点でもう亡くなられていたのかな…お父様がもしご存命ならアドバイスしてくれていたのかな、と思うと切ない…
この人は今何をしているのかな。少しでも穏やかな老後を送って欲しいよ本当。
この書きぶりからして破綻した頃にはお父様はすでに鬼籍だったのかなと思う
私も女性の書き込みだと思い込んで読んでたわー
お父さんのアドバイスがめっちゃ的確だったってことかー
そんな堅実なお父さんの下で10年修行して受け継いでもこうなるって、やっぱ自営は難しいな
アベノミクス景気が実態のない好景気といわれるのと似てる気がするね
仕事も人生も余計な色気を出したらその分失敗するリスクも倍増するんだよ
転載
anond.hatelabo.jp/20210119111122
ちなみに全部創作です
anond.hatelabo.jp/20201221164835
自分も親から聞かされた事のひとつに、商売は売掛金の回収を如何に上手くできるか?が問題って言われたわ
どんなものもいくつかは売れるのよ
でもその代金を回収するのが難しい
このお話、本当に怖い
怖すぎる
明日は我が身だわ
※10
創作だったかー
不幸になった人はいなかった!安心
でも、本当にあったとおもったわ
商売のことを熟知してないと難しい仕事だな
養殖用エサ製造会社の売掛金回収リスクを軽減する役目を担う商売
買い手である養殖業者の事をよく知って
資金力、財務状況などを推し量り、どのくらい信用できるのか判断し
信用度に応じて、保険をかけるような措置を取りリスクを小さくする
養殖業者の情報収集と分析
そして自らが製造会社と養殖業者の間に入って、養殖業者が不渡りを出した時のリスクを被る
形があるものではないがそういったサービスが商品というわけだ
当然ながら、これはそれ相応の能力が必要な業務だよなぁ
その業界の事を熟知していて、経営についても詳しいプロフェッショナルである事が求められる
それをただの卸問屋のように勘違いしてしまったのが敗因なんだろうな
とはいえ、このように悪い材料を隠して隠して、いきなり倒産っていうやつ
お父さんでも回避できたかはわからないね、ただ、被害は小さく抑えたかもしれないけどね
アホに偉そうに一般的な取引を解説されても…
最後のオチが書かれてないけど、いいね
「うむ、マグロは天然ものに限るね」
普通に男の文章だと思って読んでたわ
自分も最初から男だと思ってた
女っぽくはない
※10
創作だということ知ってもそれなりに楽しめた
手の内知ってもう少し感心した感じ
デ.リヘルの部分が抜いてあって読後感も良い
関係ないけどデ・リヘルって哲学者かなんかの名前みたいw
※10
創作認定した自慢?PCから読めないからやり直し。
※19
ネタ師乙
だから与信管理は超重要、でも難しいよねぇ
帝国データバンクとかに調査は頼むけど、これだってどこまで信用できるのか……
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